聞き手の一人一人を観察する

不特定多数を目の前にしたトークが苦手な人は多いものです。人前で話す習慣があまりない日本人はなおさらスピーチーやプレゼンが苦手なのかもしれません。サラリーマンも中高年となると、プレゼンや会議での質疑応答など、ビジネスシーンの様々なケースで「人前で話す」機会が増えてきます。
あがり症の人は壇上に上がった際、まず「聞き手を一人一人よく見る」という作業をしてみてください。これにより、先ほどまで「大勢の前で話そうとしている」という状況認識から、「この人とこの人と、あの人が聞いている」という様に、誰が聞いているかを把握できたため、驚くほどリラックスできていることを実感できるかと思います。
一対多の会話を苦手としている人の多くは「道への恐怖」によって緊張しているケースが大半です。人間は「分からないものへの不安や恐怖心」をもっているため、聞き手を一通り把握することで、少なくとも「どんな顔の人が聞いているのか」という状況くらいは掴めます。些細な違いですが、これは心理的にも非常に大きな効果があるため、侮れません。
誰も自分に興味はない

また、大勢の前で話すときに覚えておきたいのが、「誰も自分に興味を持っていない」ということです。スピーチやプレゼンで緊張するのは「変なことを言ったら笑われるのでは」「もし間違ったことを言ったら皆の前で指摘されて恥をかくのでは」といった不安が原因かと思いますが、果たして本当にそうでしょうか。
実際に誰かのピーチを聞いているとき「この人が何か変なことを言ったら笑ってやろう」などと意識して聞いている人は少ないと思います。要するに多くの人が「自意識過剰」によって緊張しているのです。
ベストを尽くさない

緊張とはどこから来るものでしょうか。人間が緊張するメカニズムとしては、色々なパターンがありますが、「あがり症」の人が緊張する原因はまぎれもなく「過度なやる気」が原因といってもよいでしょう。「完璧なスピーチをしなければいけない」「全員が納得するプレゼンをしなければいけない」といった、「ベストを尽くすべき」という高いハードルが緊張を生んでいるのです。
よくあがり症克服プログラムなどでは「失敗して恥をかくつもりで」ということが言われますが、合格ラインを低めに設定することで緊張を緩和させます。