
管理職になると、求められるスキルの一つとしてあるのがリーダーシップです。リーダーシップは持って生まれた資質だと勘違いしている人も多いようですが、間違いなく後天的に身に着けられるスキルと言い切れます。もちろん、これまでに形成された仕事や人への姿勢や元々の性格などから、習得にかかる時間に個人差があるのも確かです。
しかし、仕事に関わるメンバーを、導いたり、やる気を出させたりするスキルを最初から身につけている人は稀です。メンバーからリーダーへと、立場が変わることによって求められる仕事の性質そのものも変わるため、リーダーシップというのは常に意識して磨く必要があります。ここでは、今日からすぐに実行できる、優れたリーダーとなるために必要な考え方を紹介します。
自分の実務スキルに頼りすぎない

メンバーを引っ張るには、誰よりもリーダー自身が高い専門スキルを持っていることが重要だと考える人も多いでしょう。確かに、リーダー自身に実務能力がなければ、どんな肩書がついていても、メンバーからの信頼は得られないような気がします。
しかし、リーダーに求められる役割を再認識してみてください。リーダーの仕事は、「メンバーを成長させること」に尽きます。会社から求められるミッションが何かということについて、それぞれの事情があるかもしれませんが、多くの場合、リーダーに求められるのは、実務能力よりもメンバーの能力を発揮させることや伸ばすことです。
もちろん、リーダー自身に高い実務能力が備わっていれば、チームを力強くフォローできます。ただし、その状態が続くとどうでしょう。「このチームは○○さんの能力で回っている」といった具合にスーパーリーダー1人に依存するチームをよく見かけますが、見方を変えれば「単にメンバーと同じ仕事をしている」だけに過ぎません。さらに言えば、スーパーリーダーの存在が「自分たちが頑張らなくても何とかなる」と、危機意識が希薄になり、メンバー個々の成長が止まる可能性が高まります。
実務能力はなくてもリーダーシップは発揮できる

極端に思えるかもしれない例えですが、仮に「実務能力が全くない人間」がリーダーだったとしましょう。この場合、メンバーのフォローは出来ませんが、「Aさんは○○が得意」「Bさんは○○に長けている」という具合に、自分にはない能力をもったメンバーについて素直に評価する視点が生まれます。人間には「承認欲求」というものがあり、メンバーは、「評価されること」を常に求めています。「前年の2倍以上の売り上げ目標を強いられる」など、チームに対して難易度の高い課題が降りかかった場合、リーダーの実務能力に依存せず、メンバーのみで乗り切ったという自信があれば、「自分はチームの役に立っている」という自負にも繋がり、より高い成長が期待出来ます。