幻覚の種類
あり得ないはずの幻覚は、この宇宙に一人ぼっちになってしまったような孤独感を感じさせます。存在しないものを、五感のどれかが、もしくはすべてで感じてしまうのが幻覚です。
見るのは幻視、触るのは幻触、聞くのは幻聴、味を感じるのは幻味。幻覚には、さまざまな種類があります。まるでデタラメのようでいて、認知症や統合失調症など、それぞれの原因で共通点があるのは不思議ですね。
レビー小体型認知症
認知症にも種類があります。アルツハイマー型は有名ですが、よく幻視を見るのがレビー小体型の認知症。話を聞いた他人が、本当にあったことだと信じこんでしまうほどリアルな幻視体験をします。
レビー小体型の認知症には、ネズミや虫がいる、知らない人が座っている、畳が水浸しになっているなどの幻視があります。そこには妄想というストーリー(例:わたしを狙っている殺し屋だ!)がともなわない場合が多く、どうしてそんなものが見えているのか、当事者にも分かりません。
統合失調症
集団ストーカー行為、盗聴、監視など、みんなが示し合わせて自分を狙っているという被害妄想に陥る症例が多いのが統合失調症の特徴です。昔は分裂症といわれていました。
統合失調症は幻視がそれほど多くなく、その代わり複数の話し声や自分を責めたてる声などの幻聴が多くみられます。脳や顎が溶けてしまうという体感としての幻覚を感じることもあります。
薬物中毒やアルコール依存症
小さな大名行列やピンクの象さん、体に虫が這っている感覚など、非常に分かりやすい幻覚に陥いるのが薬物中毒やアルコール依存症です。興奮しておかしくなる場合もありますが、徐々に日常生活上でおかしな言動をするようになります。
先日逮捕された清原元野球選手も、いつの間にか言動のつじつまが合わなくなっていました。会うたびに少しずつズレを感じるのは、家族や友人にとっても恐怖でしょうね。
幻覚への対処法
どんな幻覚の種類であろうとも、本人にとっては、まぎれもない真実の体験です。まずは相手に合わせるところから落ち着かせましょう。理路整然と「そんな訳はない」と説明するのは、対処法として正しくありません。妄想についても同様で、問い詰めるほどに悪化してしまいます。
また、過度の疲労やストレスでも、幻覚を感じるのは珍しくありません。見慣れた日常が他人ごとの世界に思える離人症、一時的な記憶喪失などです。思い当たることがあったら、カウンセリングだけでも受けてみましょう。