中高年の退職は辞め方が重要

中高年の退職というと、若い頃のそれと異なり、「向いていないから辞める」「上司とウマが合わないから辞める」といった短絡的なものではなく、家庭を支えなければならなかったり、積み上げてきたキャリアをどうするかなど、それぞれに切実な事情があるかと思います。定年退職や終身雇用が既に「神話」となっているこの時代において、「理想的な転職」とは何でしょうか。ここでは、何かしらの事情で転職を考えている方向けに、退職してからも会社や業界と良好な関係を維持できる退職の考え方について紹介します。
退職は年度末のタイミングに合わせるのが常識

まず、退職のタイミングについてですが、末端作業しか担当してない新人と異なり、中途半端な時期に退職すると大きな混乱を招きます。これは、役職が上がれば上がるほど、その傾向があります。予算編成や人事の都合なども考慮し、会計年度を一区切りとして、あくまで「計画的に」進めるのが管理職の退職のマナーといえます。
ライバル会社への転職は慎重に

また、退職後の「身の振り先」についても考える必要があります。よく、雇用にあたって「競合他社への転職を禁じる」という契約を結ぶ会社がありますが、日本では憲法で「職業選択の自由」が定められているため、基本的にどの会社に転職しようが自由です。とはいえ、入社から育ててもらった会社で培ったノウハウやスキル、顧客などをそのまま持ち出してライバル企業へ転職するという行為は、長期的にもビジネスマンとして長生きするなら慎重に考えた方がよいでしょう。
経営状態が悪化しているなら最後まで見届ける

退職を考える動機として、「会社の経営危機」があります。この様な事情で退職を決断するのは、生活のリスクなども考えると致し方ない判断ともいえます。しかし、一方で「会社の最期を見届けた」という人は、転職先でも貴重な人材として評価されることがあります。会社が順調な時期を体験することは誰にでもあっても、会社の倒産を経験したことのある人材はなかなかいません。経営層に近ければ近いほど、ピンチに立たされた企業の経営者はどんな判断をするのか、また、資金繰りが悪化すると、どんな兆候が見られるのかなど、経営者なら誰もが興味をもつ体験だという考え方もあります。