聞き上手となるのは意外と難しい
人とのコミュニケーションにおいて「聞き上手」がよしとされることは誰もが知るところでしょう。しかし、不思議なことに多弁な人ほど「自分は聞き上手」と勘違いしているケースをよく見かけます。自分のマシンガントークに相手が相槌を打っているだけの状態を指して「自分の話は面白い」と勘違いし、さらには気まぐれで相手の話に「少しでも耳を傾けた」だけで、「自分は聞き上手」と勘違いする人は意外と多いものです。
福祉に従事する人の間で「傾聴する」という言葉が使われますが、読んで字のごとく「耳を傾けて聞く」ことが聞き上手になる秘訣です。もっと言えば、「相手が伝えたいことを理解する姿勢」が求められます。ここでは、聞き上手になるためのポイントを紹介します。
相手の話にかぶせない
自己主張の強い人や、せっかちな人は、相手が話している最中に上から覆い被せる様にして口を挟みがちです。やられた方は、あまりいい気はしません。この「覆いかぶせ」をしてしまう心理としては、「あなたの話は大体分かっている」「この後何が言いたいのか、予想がつく」という気持ちが背景にあります。相手が話している最中に口をはさむことは、「あなたの会話は下手だから私が上手にまとめてあげよう」という傲慢さをアピールすることと同じであることを自覚しておきましょう。
話を聞いているときの仕草や態度を意識する
聞き上手に求められるスキルと聞くと、会話のテクニックをイメージしてしまいがちですが、相手の話を聞いているときの態度こそが、「聞き上手かどうか」に大きく影響します。外国に行ってジェスチャーで相手に意思を伝える「ボディランゲージ」という考え方がありますが、実は人間のコミュニケーションにおいて、言語が担う役割はおよそ1割程度しかないと言われています。
相手が話している最中に時計をチラチラと見たり、ましてやスマホや手元の書類などに目を向けるなど論外です。人は話している最中、
「相手が自分の話をどれだけ真剣に聞いているか」が気になるものです。退屈そうな態度を取っていては、話す気持ちが失せることでしょう。適度に相槌を打ち、つま先を相手に向け、目線は顔から背けないことが、聞き上手の態度を身に着ける第一歩です。
知識を競わない
よく、相手が「自分の得意分野」について話し始めると、嬉々として饒舌になる人がいますが、大人の男性のふるまいとして、あまり格好のよいものではありません。自分の方が知識が上であることが分かっている場合、どうしても「さらに上のレベルの知識」を披露したくなる気持ちは分かりますが、聞き上手かどうかという点においてはNGです。