やる気の正体
いわゆる「やる気」の正体とは何でしょうか。精神力や気合いなど表現する場面もありますが、科学的に言うのであれば「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」とも言い換えることができます。ドーパミンは、脳を覚醒させる神経伝達物質の一つで、快楽や創造性を司ります。このドーパミンの分泌が過剰になると統合失調症になると言われており、人間の行動力に大きな影響を与えています。また、ドーパミンから合成されるノルアドレナリンも似た性質をもっています。
脳がやる気を出す条件
「やる気がでない」「やる気を出さなければいけない」という状況にある人は、まずやる気の量は無限ではないということを知る必要があります。また、脳が目の前の作業に対してやる気を出すには、条件があります。では、その条件とは何でしょう。
実は、人間の脳が「やる気」を出すためには、1.終わりが見える、2.成功する可能性が高い、3.生きるために必要である、という3種類の条件があります。自分の過去振り返ってみて思い当たる節はないでしょうか。
「終わっていいと言うまではやり続けなさい」と言われてやる作業と、「ここからここまやりなさい」と、範囲を限定して指示される作業とでは、後者の方が、俄然やる気が湧くのは当然です。また、どうあがいても勝てそうにない相手と試合をするよりも、勝算のある試合の方が、やる気が出ます。3に関しては、「火事場の馬鹿力」や「締め切りに追い込まれてやる気を発揮する」などがこれにあたります。
仕事の量が膨大で、どうしてもやる気が出ないという場合の多くは、これら3つの条件のどれか(または全部)に当てはまっているはずです。
つまり、目の前に立ちはだかる仕事や問題に対して「やる気」を取り戻すには、これらの条件を満たす様に工夫をすればよいだけなのです。
例えば、終わりが見えないのであれば、完了までの時間を計算することでやる気を取り戻せるかもしれません。また、成功する可能性が低いミッションであれば、「100点は無理でも60点ならいけそうだ」などと、妥協点を設定することで、脳は「これくらいなら成功しそうだからやる気を出してあげる」と、ドーパミンを分泌させます。この様に、工夫次第でいくらでも「やる気」を取り戻すことは可能なのです。目の前の難題に腰が重くなっている人はぜひ試してみてください。