余白の美意識と日本人
何もかも自分の好みで統一できるのが、一人暮らしの醍醐味です。ただ、好きなものをジャンル問わず詰め込んでいると、いつの間にかリサイクルショップの倉庫のようになってしまいます。
いったん仕切り直して、もう一度くつろげる部屋を構築したければ、空間を大切にしたインテリアを心がけましょう。自分は空間そのものにお金を払っているのだという意識を強く持つと、きっと素敵なインテリアが見えてきます。
高級な和風旅館ほど、あえて何も置いていない空間があります。たとえば掛け軸の飾られた床の間を眺めてると、余白の美意識が感覚的に実感できますね。ホテルのように絵画をずらりと並べませんし、置物や花器も、基本的に「ぽつん」と存在するように飾られます。
茶道のワビサビにも通じる余白の美意識を、部屋のインテリアにも取り入れるためには、新しく家具や雑貨を買う必要はありません。むしろ、減らすことからスタートです。
家具の上に物を置かない
キッチンカウンターの上、棚の上、スピーカーの上、とにかく空間と直接接している場所に置いてあるものをしまいましょう。物をしまうのは、あくまでも引き出しや棚の「中」です。上側に置いておくという行為をやめましょう。
家具の上側がすっきりすると、急に空間が広がります。今度は何かを飾りたくなります。フォトフレーム、フィギア、謎のオブジェなどです。そのうちにまた、新聞や時計やスマホを「置いておく」ようになってしまいます。
飾るものは循環させる
オブジェや花瓶、ポスターや絵画は、各ひとつずつのアイテムを厳選して飾り、季節やイベントごとに入れ替えましょう。定期的にディスプレイを見直してコレクションを循環させる作業は、とても楽しいものです。
もしフィギアやミニカーなど、オールコレクションを飾りたいのなら、コレクションボックスを使いましょう。もちろん、コレクションボックスの上には何も置かないように。
空っぽの引き出しやカゴをキープする
置いておくという誘惑を断ち切るには、とりあえず入れておくための空っぽの空間が必要です。食器棚の引き出しひとつ、あるいは何も入っていないカゴや箱でかまいません。空っぽのままでキープしましょう。
整理整頓が好きな人は、じゃあここには何々を入れようとルールを作りたくなるかもしれません。でも、せっかくの空っぽの空間を埋めるのは、もったいない!美しい余白は、そのままにしておきます。