いわゆる「嫌な気持ち」は存在しない
ネガティヴな感情について、よく「イヤな事があっと」「辛い過去にとらわれている」という表現をしますが、これは心の問題です。では、心とは何でしょう。とある脳機能学者の主張によれば「心とは現象であり、実態がないもの」と定義されています。よく、「心を強くする」「折れない心を作る」という言い方をしますが、心は存在しないものなので、鍛えようがないということになります。
この前提で考えると、その「嫌な感情」の正体とは、自分自身の記憶を元に形成されていることが分かります。つまり、「記憶の書き換え」が可能であれば、嫌な感情は消せるということになります。では、記憶を書き換えることなど可能なのでしょうか。
アウトプットして再体験する
どんなに快活そうな人でも、マイナス感情の一つや二つはもっているはずです。いつまでも引きずって、常に苛立っているいる人と、気持ちの切り替えが早い人との違いはどこにあるのでしょうか。
カウンセリングでよく取り入れられる手法として、「アウトプットしてみる」というものがあります。いたってシンプルで、単純に「その嫌なこと、嫌な感情」大きな紙に書き出してみることです。小さなことであれば、書き出すだけで、「こんな小さな事で悩んでいたのか」と気分が晴れるケースもあり、その効果は馬鹿にできないものがあります。
嫌な記憶に対して面白おかしく名前をつける
感情をコントロールする手法の一つとしてコーチングやカウンセリングで用いられるのが、「ネーミングする」ことです。例えば、あなたが、海外の色々な国へ旅行をして、色々な体験を通じて価値観が変わったとします。その経験の価値は、決して一言で言い表せるものではないことでしょう。それを誰かに話したとき、「ふ~ん、要は旅行言って楽しかったんだ」と片づけられると、何だか「あの壮大な体験」がとても小さなことだと言われている様な気がして不愉快になります。
この原理を利用して、「忘れられない嫌な体験」も、同じように自分でチープに要約すればいいのです。例えば会社でイジメに遭っていて、「毎日が憂鬱で今後もやっていけるだろうか」「明日も出勤か、嫌だな」思っているなら、その感情にラベルをつける様に「僕と10人の敵物語」など、適当なネーミングをつけるのです。
ネーミングは、なるべく滑稽なものが好ましく、チープであればあるほど、イヤな記憶を客観的に再認識することができます。