管理職は他人事ではないブラック企業問題
労働力としてボロボロになる状態まで搾取して通常では誰もが拒否する条件で労働させるうブラック企業が問題となっています。某飲食店チェーンなどの過労死事件を発端に世に浸透する様になりましたが、飲食店だけではなく様々な業種でブラック企業問題が蔓延しています。
ブラック企業問題は若者にだけ降りかかる問題だと認識されていますが、実は、搾取される側ではなく、そこで働く管理職層にも様々なリスクがあります。自分が働いている会社のルールがおかしいことに気付かないまま管理職になってしまった場合、新人に対して知らずのうちに「ブラックマネジメント」を用いて管理している可能性もあるのです。もちろん、会社の責任は経営者にありますが、実際に労働者が訴訟を起こせば、直接関わっていた中間管理職の人も無傷では済まないことも多いのです。
外部との遮断で「常識感覚」を書き換える
ブラック企業が従業員を「社畜化」する方法として典型的な例としてあるのが、「外部との遮断」です。同調圧力によるサービス残業の強要や、理不尽な休日出社などで、どんどんプライベートの時間を奪っていくのです。
通常、誰かに相談する機会があれば、自分の置かれている環境が「おかしい」と気付くものです。しかし、会社に拘束され続け、たまに休みが取れても、精神的にも肉体的にもボロボロになった状態で休日を過ごすため、ほとんどが寝て一日が終わるという例が多いのです。そのため、友人や家族と過ごす時間が失われていき、いつの間にか、自分が働く会社がおかしいと気付かなくなるのです。これは、世間を震撼させた某カルト教団が「出家」と称して完全に家族との交流を絶たせて施設内でマインドコントロールをしていましたが、この手口と酷似しています。
人間とは不思議なもので、どんなに理不尽でおかしいと思っていたことでも、慣れれば何でも受け入れることが可能になるのです。
機能していない労働基準法
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何故ブラック企業が無くならないかといえば、原因は単純で、労働基準法が有名無実化し、機能していないことです。日本の労働基準法では、従業員と雇用側が、お互いに合意すれば「上限なく残業できる」という「36協定」というものがありますが、罰則規定がないため、ブラック企業にとっては、「労働基準法など恐れるに足らず」なのです。