歯磨きはプラーク除去が目的
一日3回の歯磨きを習慣としている私たち日本人にとって、歯磨きはあまりにも当然の習慣なので、ついついその目的を忘れて漠然と歯磨きをしている人も多いのではないでしょうか。「食べカスを取り除くため」「口臭を予防するため」「単にスッキリするため」など、色々な考えがあるかもしれませんが、歯磨きの目的は「プラーク」の除去です。
プラークとは
歯の表面に付着している黄ばんだ粘着物がプラークです。このプラークには無数のばい菌が存在していると言われています。このプラークは、歯に付いた細菌が増殖してそのネバネバとした物質を形成します。また、プラークのことを、食べカスと勘違いしている人もいますが、プラークは全く別ものです。プラークが溜まりやすいのは、奥歯や「歯と歯茎の間」、そして「歯と歯の間」です。これらの場所は、特にプラークが増殖しやすいので、歯磨き時には重点的に磨きます。
虫歯の原因を再確認
虫歯予防と一言でいっても、虫歯になる原因を知っておかなければ十分な対策をとることができません。虫歯の原因は、プラークという「虫歯の原因菌の集合体」から、ミュータンス菌などが歯の表面にバリアを張り、その内側で菌を増殖させます。そしてそのなかで出た酸によって、脱灰(だっかい:歯のエナメル質を溶かしてしまうこと)が起き、これが虫歯の原因となります。
そして、元凶ととなるプラークを減らせば、脱灰が起こるのを防げるはずですが、実は「食後の歯磨き」はあまり意味がないと言われているのです。何故でしょうか。
食事の前に歯磨きをする理由
「食事の前に歯磨きをする」と聞くと、多くの人が、首をかしげます。しかし、理屈で考えれば理に適っていることが分かります。プラークを除去する前に食事をすると、プラークに対して「食べカス」という、繁殖するための栄養を与えてしまうからです。食事のあとに急いで歯磨きをすれば良いという考えもありますが、菌の繁殖スピードは侮れないものがあります。
歯ブラシではなく「フロス」を使う理由
食前に歯磨きをした方がよいことは分かりましたが、歯ブラシを使うこともプラーク除去の効果があまりないと言われています。歯ブラシは、歯の表面に対しては圧力が加わるため、プラーク除去の効果があります。しかし、プラークが溜まりやすい「歯と歯の間」には、どんなに毛先の細い歯ブラシを使っても、十分に除去することができません。
そこで、必要になるのが、糸状の「デンタルフロス」でのプラーク除去です。フロス以外にも、歯間ブラシや糸ようじなども併用すると効果的です。
食後の歯磨きは、エチケットとしても習慣化するべきですが、これに加えてデンタルフロスによる「食前の歯磨き」も習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか。